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最高裁判所第二小法廷 平成5年(行ツ)139号 判決

佐賀県唐津市宇木一八三四番地二

上告人

手島啓三

佐賀県唐津市千代田町二一〇九番地四六

被上告人

唐津税務署長 高園満

右指定代理人

加藤正一

右当事者間の福岡高等裁判所平成四年(行コ)第二一号課税処分取消請求事件について、同裁判所が平成五年四月二二日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告の申立てがあった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人の上告理由について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、原審の専権に属する事実の認定を非難するか、又は独自の見解に立って原審の右判断における法令の解釈適用の誤りをいうものにすぎず、採用することができない。

よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 大西勝也 裁判官 藤島昭 裁判官 中島敏次郎 裁判官 木崎良平)

(平成五年(行ツ)第一三九号 上告人 手島啓三)

上告人の上告理由

第一点 原判決の判断に判決に影響をおよぼすことが明らかな彩証法則の違背がある。すなわち、平成四年(行コ)第二一号判決書二枚目四行目「原判決理由記載の中平成四年(行ウ)第一号判決書五枚目一行目の一六九八番二は三八m2又は一六九四番二は七六m2が、本件贈与税猶予面積である事は、乙第一号証二枚目で明らかである。その本件贈与税面積部分は、共有者分割協議をして、売却せず現在も耕作を続けている事は、甲第二号証で証明しておる。だから、猶予中であるのに期限が来たと判断し、確定した事が処分に当たる。従って、平成三年四月二五日付贈与税額の通知を取消すべきである。

第二点 原判決は、一審及び二審とも憲法その他法令に違背する。すなわち、

〈1〉 一審(行ウ)判決書六枚目裏九行目「前記通知は以下」七枚目表一行目までは、租税特別措置法七〇条の四第一項ないし、第三項に該当しないのを、該当したとみなしたことが誤処分に該る。

その内訳は、第一点に説明したとおりであって、ひいては、租税特別措置法第七〇条の四に違背する。

〈2〉 被上告人の前記誤処分を基に猶予期限が確定する誤処分をし、その贈与税額の通知書(甲第一号証)で「至急納付せよ」としたが、上告人は、共有分割協議書(甲第二号証)を提出して、納税通知書を取消すより、不服申立てをした。以下は甲第四号証ないし、甲第六号証に示す通りであるが、これは、憲法第一八条(奴隷的拘束及び苦役からの自由)何人も、…中略…その意に反する苦役に服させられない。「本訴の不当課税も苦役の内に入る」と考える。に違背する。

〈3〉 控訴審(行コ)判決書二枚目裏八行目「控訴人は、以下」同一一行目までについて、納税猶予の申告(乙第一号証)は、印鑑を渡して税猶予申告の意思は表示したが、内容の過誤(乙第一号証二枚目農地等の贈与税の納税猶予の適用を受ける農地等の明細中、所在場所二段目一六九八の二を固定資産税評価額二〇万二五四円と誤記入し、ひいては、価額二一万七八七六円誤価額を重ねている事は、甲第七号証、甲第八号証により明らかである。)記載については、当時全く知らされておらず、見聞していないのである。申告人は、税を納めないですます目的の手続きと聞いただけで、何一つ署名すら申告人の筆跡ではない。

贈与税の通知書(甲第一号証)を受け取って(平成三年四月二五日以後)電話で問合わせている時、この様な過誤を始めて聞いたのである。その後、この書式や記載を初めて見て、すぐ、異議申立をしたが、この書類の作成者は、この税の担当者(市ないし国の公務員)であるから、超過誤の部分を無効としないならば、憲法第一七条(国及び公共団体の賠償責任)「何人も、公務員の不法行為により損害を受けたときは、…以下略…」に違背する。この無効部分の中に、二審(行コ)判決書二枚目一一行目「現実に不利益が生じたとき」については、甲第一二号証の一や二及びその証拠説明で解る筈で、上告人は、このような不利益が現実に生じ、ないし生じようとし、更に生じないように、無効(超過誤)部分を平成三年四月の算出に混入させない為に、訴を申立てた訳で、原審判決は、憲法第三章(国民の権利及び義務)に違背する。事を示す。

以上、いずれの論点よりするも、原判決(贈与税額の通知から始まる異議決定書、審査裁決書・本訴一審・二審すべてを含め)は、違法であり破棄さるべきものである。

なお、検討されて、不明の点があれば、指摘をなされて、けん欠を補正・追完の命令を受けたい。

以上

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